2018/08/16

退職金の現物支給と消費税

退職金を現物支給した場合の消費税の取り扱い

役員退職金を支給するにあたり、次のそれぞれの場合で消費税の取扱は異なります。

(1)退職金として会社所有の車両(簿価80、時価100)を支給すると株主総会で決議した場合
(2)株主総会では全額金銭で支給すると決議しましたが、資金繰りがつかずに一部会社所有の車両で支給した場合

(1)のように最初から株主総会決議の通り退職金の一部を現物支給した場合は退職金として支給したことになり課税対象外となりますが、(2)の場合は金銭に代えて支給することとなり「代物弁済」として課税の対象となるのです。

なお、どちらにしても会社側の経理処理は車輌を支給した時点で時価評価し簿価との差額を損益として計上することが必要になります。

(1)
退職金100 / 車両80 (対象外)
退職金100 / 譲渡益20 (対象外)

(2)
退職金100 / 未払金100
未払金100 / 車両80 (課税)
未払金100/ 譲渡益20 (課税)

代物弁済とは「債務者が債権者の承諾を得て、約定されていた弁済の手段に代えて他の給付をもって弁済する」ことであり「資産の譲渡」に該当するので課税の対象となる。【消費税法2-1-8 より抜粋】

いわゆる現物給与とされる現物による給付であっても、その現物の給付が給与の支払に代えて行われるものではなく、単に現物を給付することとする場合のその現物の給付は、代物弁済に該当しないことに留意する。【消費税法基本通達5-1-4 より抜粋】