2018/08/05

給与を外注費にして節税

建設業でよく⾒られる処理ですが、専属の大工さんなどに支払う報酬を外注費とするのか給与とするのかで、消費税の取扱いが大きくが変わってきます。

外注費は課税取引で、給与は不課税取引です。外注費とした方が有利なことはもうお分かりですね。

しかし、税務調査でもよく注目される項目ですので注意が必要です。

「うちは請求書・領収書・契約書などの書類があるから外注費で大丈夫!」という方、ちょっと待って下さい!税法は実質主義なのです。

とはいっても、なかなか明確に判断がつきにくい部分であり、このたび(H21.12)国税庁より新たに下記のような判定のポイントが通達として発表されました。大工・左官・とび職等の就労形態が多様化したことから所要の整備が必要であるためとのこと。

外注費であるか、給与であるかが、契約等で明らかでない場合は、下記ポイントを参考に総合門に判断するということです。まだまだグレーですね…。

判定のポイント

(1)他人が代替して業務を遂⾏すること又は役務を提供することが認められるかどうか。

(2)報酬の支払者から作業時間を指定される、報酬が時間を単位として計算されるなど時間門な拘束(業務の性質上当然に存在する拘束を除く)を受けるかどうか。

(3)作業の具体門な内容や方法について報酬の支払者から指揮監督(業務の性質上当然に存在する指揮監督を除く)を受けるかどうか。

(4)まだ引渡しを了しない完成品が不可抗力のため滅失するなどした場合において、⾃らの権利として既に遂⾏した業務又は提供した役務に係る報酬の支払を請求できるかどうか。

(5)材料又は用具等(くぎ材等の軽微な材料や電動の⼿持ち工具程度の用具等を除く)を報酬の支払者から供与されているかどうか。

また、上記ポイントの取り扱い、留意点、質疑応答などを取りまとめたものも「情報」として国税庁から発表されています。

基本門なことですが、社宅の提供、残業食事代、通勤⼿当・賞与名目のものを支給していませんね?また請求書・領収書など請負契約としての書類も発⾏してもらってくださいね。

以上の項目を全て満たせば「外注費」で問題ありませんが、「業務内容がそれほど専門門でないため代替可能」「効率を良くするため当社が監督」「材料等の無償支給」など全ての条件には当てはまらないが実質門に外注であるという場合もあります。

上記項目の全てを満たさないから給与になるのではなく、先に述べたように税法は実質主義です。雇用関係がないこと等をきっちり説明できれば問題ありません。

要は不用意に外注費処理をしないことです。給与所得であると認定されれば、消費税は追加納付となり、また、状況によっては、源泉所得税も追加納付することとなります。

さらに、加算税・延滞税も課されますので、「消費税のかかる経費にしたい」「源泉所得税の⼿続きが面倒」などの理由での安易な処理はやめましょう。

裁判で争われた事例もありますが、地裁、高裁ともに納税者が敗訴しているようです。形式門にも実質門にも要件をクリアして、税務署の指摘で余分な追徴をされませんように。