2026/07/22

納税の猶予制度ついて

納税の猶予制度の概要と要件

国税には主に二つの猶予制度があります。この章では、それぞれの制度についての概要とその要件をご紹介いたします。

● 換価の猶予(国税徴収法第151条の2)

次の①から⑤までに掲げる要件のすべてに該当するときは、換価の猶予が認められる場合があります。

①国税を一時に納付することにより、事業の継続または生活の維持を困難にするおそれがあると認められること。
②納税について誠実な意思を有すること。
③換価の猶予を受けようとする国税以外の国税の滞納がないこと 。
④納付すべき国税の納期限から6か月以内に、換価の猶予申請書が所轄の税務署に提出されていること。
⑤原則として、担保の提供があること。

換価とは、税務署長が滞納者から差押えをした財産を売却し、その売却代金をもって滞納国税を徴収することです。
上記の要件を満たすことで、原則として1年以内(やむを得ない理由がある場合は、延長の申請をして2年)の期間に限り、納税あるいは差押え財産の換価が猶予される可能性があります。
また、猶予が認められた場合には、猶予期間中の延滞税についても軽減されます。

● 納税の猶予(国税通則法46条)

次の①から③までに掲げる要件のすべてに該当するときは、納税の猶予が認められる場合があります。

①下記のいずれかに該当する事実があること。
・納税者がその財産につき、震災、風水害、落雷、火災その他の災害を受け、又は盗難にあったこと。
・納税者又はその者と生計を一にする親族が病気にかかり、又は負傷したこと。
・納税者がその事業を廃止し、又は休止したこと。
・納税者がその事業につき著しい損失を受けたこと。
・上記のいずれかに該当する事実に類する事実があつたこと。
②納税の猶予申請書が提出されていること
③原則として、担保の提供があること。

こちらは上記の要件を満たすことにより、原則として1年以内(やむを得ない理由がある場合は、延長の申請をして2年)の期間に限り納税の猶予が認められる場合があります。
あわせて、猶予が認められた場合には、猶予期間中の延滞税について軽減または免除されます。
換価の猶予とは異なり、災害等により相当の損失を受けたと認められる場合に利用できる制度となっていることに注意が必要です。

また、両方の制度について要件の一つとなっている担保の提供についても、次のいずれかに該当する場合は免除される可能性があります。
・猶予を受ける金額(未確定の延滞税を含む。)が100万円以下である場合
・猶予を受ける期間が3か月以内である場合
・担保を提供することができない特別の事情がある場合

上述のとおり、「納税の猶予」は自然災害や事故などによる損失を受けたことが要件となっております。そのため、多くの場合は「換価の猶予」について申請することになると思います。
次章では「換価の猶予」の申請手続きについてみていきたいと思います。

換価の猶予申請について

この章では「換価の猶予」について、申請する際に必要な書類や手続きの流れをご紹介させていただきます。

●猶予の審査のために必要な書類

①猶予を受けようとする金額が100万円以下の場合
・換価の猶予申請書
・財産収支状況書
②猶予を受けようとする金額が100万円を超える場合
・換価の猶予申請書
・財産目録
・収支の明細書

税額(延滞税含まず)が100万円を超えるか否かで必要となる書類が変わってきます。

100万円以下の場合は申請書に加えて、資産や売掛先の状況・今後の見込みの収支などを簡易的に記載した「財産収支状況書」を提出する必要があります。
100万円を超える場合には、「財産収支状況書」に換えて「財産目録」と「収支の内訳書」を提出する必要があります。
税額が大きくなる分、申請者の財産と収支についてより詳細な情報を記載することが必要になります。

また、申請書には申請者の氏名や猶予を受けようとする税目と金額、納付が困難な事情の詳細、担保の有無などに加えて、納付計画を記載する必要があります。
分割納付する予定日付やその金額を記入していき、完納までの計画を税務署に提出することが必要になります。

上記の書類を過不足なく記載し、提出することで審査を受けることができます。この際に書類の不備などが確認された場合は、税務署から補正通知書が送付されます。
これに対応して該当箇所の補正をおこなわないまま20日が経過してしまうと、申請を取り下げたものとみなされるので注意が必要です。
猶予が許可された場合には、「換価の猶予許可通知書」が申請者に送付されます。その通知書に記載された分割納付計画に基づいて完納まで納付を続けていくこととなります。

今回は納税の猶予制度についてご紹介させていただきました。申請手続きに関するより詳細な情報は、国税庁のホームページに手引がございますのでご確認いただけると幸いです。

記.名古屋事務所1課