2021/06/29

低未利用土地等の100万円特別控除の特例

低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除

空き家の敷地等を売却した場合に要件を満たすと個人の譲渡所得(儲け)から100万円控除出来る特例です。適用すると所得税と住民税併せて最大2‌0万円程度の節税になります。だた要件は多いので順番にみていきましょう。

【対象期間】
令和2年7月1日から令和4年12月31日までの売却

【売却金額】
土地と建物を合わせて売却金額が500万円以下

【所有期間】
売った年の1月1日において、所有期間が5年を超えること。例えば令和3年に売却した場合は、平成27年以前に取得している土地等が対象になります。相続で取得した場合は、故人の取得日を引き継ぎます。

【売却する相手】
親、子供、配偶者など特別な関係でないこと。生計を一にする親族、内縁関係、同族会社なども対象外です。つまり身内ではなく第三者に売却している場合が対象です。 

【対象となる土地等】
・都市計画区域内にあること
・低未利用土地等であること
上記の両方に該当する必要があります。

都市計画区域内とは、「市街化区域」「市街化調整区域」「非線引き区域」の3つが該当します。準都市計画区域や都市計画区域外は対象外です。市区町村に確認すれば売却する土地が、どの地域に該当するか確認出来ます。

低未利用土地等とは、居住の用、事業の用その他の用途に利用されておらず又はその利用の程度がその周辺の地域における同一の用途若しくはこれに類する用途に利用されている土地の利用の程度に比し、著しく劣っている土地や当該低未利用土地の上に存する権利のことをいいます。

簡単にまとめると未利用か低利用の土地や借地権のことです。
・未利用地の具体例
空き地や空き家、空き店舗の敷地など
・低利用地の具体例
一時的な資材置き場、コインパーキング(譲渡後にアパート等の建築し、高利用される見込みの場合のみ)など

【譲渡後の要件】
購入者がその土地等を利用すること。低未利用地のまま使用する、つまり一定の設備投資等を行わずに土地を利用する場合は対象外です。
具体的には古民家再生して店舗として利用する、太陽光設備を設置して売電するなどが該当します。青空駐車場として使用する、空き家をそのまま物置として使用する等は設備投資されていないため対象外です。

【市区町村の確認書】
税務署ではなく、土地の所在地の市区町村に申請して低未利用地等の確認書を発行してもらいます。
それを所得税の確定申告書に添付して納税地の税務署に申告します。

確認書の発行にはだいたい2週間~3週間かかるそうなので早目の準備がお勧めです。

申請書の添付書類
・売買契約書
・登記簿謄本
・低未利用地だったことが証明できる書類(不動産会社の広告や証明書、電気、水道の使用中止日がわかる書類など)
・譲渡後の利用について確認できる書類

市区町村によって添付書類が異なりますので申請前にご確認下さい。また「譲渡後の利用について確認できる書類」には購入者の署名等も必要な場合ありますので事前の準備が大切です。

【その他・見解】
分筆した土地は原則1回しか適用出来ません。例えば1500万円のA土地をa、b、cの3区画に分筆して毎年500万円づつ売却した場合は、初年度にaの売却時に適用すると翌年と翌々年のbとcの土地には適用されません。また他の譲渡特例との併用も出来ません。個人の特例のため法人は対象外です。

個人的には本当に空き家を減らしたいなら、もう少し要件を緩和する改正を希望したいなと思います。例えば売却金額も2,000万円以下、控除額も500~1000万円程度であれば節税額も100万円~200万円程度になるので、地主の方が売却する動機になるかと思いました。

記.名古屋事務所1課