2017/12/25

お金と利益は別モノ!利益の仕組みについて

利益と資⾦の関係 – 勘定あって銭⾜らず

キャッシュ(現金)の確保と管理こそが肝⼼です!

よくある勘違いで、「経費を増やす=お金を使う」ことさえすれば、利益が減り節税できる、と思われている場合が多いのです。

また、決算期末時点で資金残⾼がほとんどない状態で、「うちはお金が残っていないから、税金とは無縁だろう」と思われているケースもそうなのですが、まず「お金を使いさえすれば経費になる」という勘違いがあります。

お金を使ったからといっても、それが設備投資であったり、仕入の前倒しであったりでは、それらは全額「経費」にはなりません。

設備投資による支出は⼀時の費⽤にはできません。設備投資金額を税法で定められた耐⽤年数(例えば⾞であれば 6年など)で割った分だけが「減価償却費」という形で経費になるのです。

また、商品の仕入についても、それが期末に在庫として残るのであれば経費にはなりません(消費税は節税になりますが=仕入税額控除できる)。

つまり設備投資と在庫投資を多額に⾏った結果、資⾦は大幅に減ったわけですが、それらのほとんどは「資金」から「資産」に代わっただけで「経費」にはならないため、決算書は⼤きな「黒字」となっています。資金がない上に多額の税金の納税に迫られてしまいます。
納税だけでなく、毎⽉の支払(仕入代金や⼈件費・家賃などの固定費)さえ苦しくなってしまいました。

こんな折に⼩切⼿や⼿形が不渡りになってしまえば、倒産に追い込まれてしまいます!

以上が「黒字倒産」の正体です。いわゆる「勘定あって銭足らず」という状態から起こる結果です。

節税のためだけに「無駄使い」はしてほしくありません。上記のような「無駄使いが経費にならなかった!」場合や「黒字倒産」を危惧する、という理由だけではなく、そもそも「無駄使い」⾃体が税務署には「経済的合理性のない行為」だと見なされてしまいます。

そうなのです。仮に会社の資金からの支出であっても、事業に必要のない(関係のない)支出は、その経費性すら否認されてしまうのです。

また「うちはお金がない会社だから税金とは無縁だ」とも思い込まないで下さい。繰り返しますが、お金がなければ税金は出ない、という考え⽅は間違っています。必ず試算表から利益をタイムリーに把握し、事前に節税策を講じ、納税資金を準備しておいて下さい。

基本的なことですが、やはり「資金」と「利益」を勘違いされている経営者も多く⾒受けられますので、あえてここで解説しました。

無駄遣いによる節税は本末転倒!

また、無駄使いによる過度の節税は、会社が廃業に追い込まれる原因になる場合もあるのです。お金の出て行く節税を繰り返していると税金より多い金額の経費を支出するため、会社にお金が残りません。その結果、資金繰りに窮してしまうのです。

「税金を払わずに会社を成⻑させたい!(お金を残したい)」とどの社⻑も考えているでしょう。実は極論を⾔ってしまえば、会社にお金を残しつつ、安定した成⻑を続けていくには、税金を納めていった⽅が得策です!⼤雑把な⾔い⽅ですが、税金は利益の35%ぐらいまでで済むのです。ということは残りの65%は会社に残りますね?

過度の節税により経費を支出し続けると、65%どころか1銭もお金が残りません!
「税金を意地でも払わない」ということばかり考えていると、無意識のうちに資金繰りだけでなく、経営までおろそかになってしまいます。これでは本末転倒ですよね。

昨今では情報も氾濫し、「節税本」などの書籍類やWEB上の情報も多く出回っていますが、これらの多くは「節税テクニック」に焦点を当て、なかなか節税の本質まで触れているものは少ないように感じます(中には素晴らしい内容のものありますが…)。

もちろん不要な税金を無駄に払う必要はありません。しかし、テクニックだけで節税を済まそう、と考えられる⽅に限って、結構無駄な税金を払っているのが現実です。⽪⾁な結果ですが、これが現実です。しかも、そういう会社に限ってお金も残っていません。付け焼刃のテクニックによる、無駄使いの節税により浪費しきっている状態なのです!

節税は付け焼刃ではできません。“ テクニック ” ばかりに目が⾏く前に、まずはきちんと、今ある会社の「経理」や「取引内容」を⾒直してほしいのです。

「自社の経理をきちんと見直すだけで節税になる」のです。はっきり言って、テクニックに⾛る社⻑に限って、自社の経理状況を理解していません。

“ 現状を見直すだけで “ または、“ ⼀定の手続きを行うだけで “ 十分な節税効果を得られる方法がたくさん存在しています。
それらを「節税の基本」と考え、次回以降触れていきます。