2017/12/13

扶養控除申告書について

今年も年末調整の時期がやってまいりました。今回は扶養控除申告書について見ていきたいと思います。

マイナンバー省略の要件

平成29年分の扶養控除申告書から、給与支払者が従業員等のマイナンバー等を記載した「一定の帳簿」を備えていればマイナンバーの記載を省略することができるようになりました。

番号法(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)の安全管理措置を講じる必要がなくなります。では、扶養控除等申告書のマイナンバーの記載を省略する「一定の帳簿」とはどういったものかを見ていきましょう。

扶養控除等申告書へのマイナンバーの記載を不要とするために備える帳簿には、次の事項を記載する必要があります。

1.扶養控除等申告書に記載されるべき提出者本人、控除対象配偶者、控除対象扶養親族等の氏名、住所及びマイナンバー

2.帳簿の作成に当たり下記のいずれかの提出を受けた申告書の名称

・給与所得者の扶養控除等申告書

・従たる給与についての扶養控除等申告書

・退職所得の受給に関する申告書

・公的年金等の受給者の扶養親族等申告書

3.2の申告書の提出年月

具体的な「帳簿」としては下記のパターンが考えられます。

平成28年又は平成29年の扶養控除等申告書等の

①扶養控除等申告書等の原本を帳簿とする。

②扶養控除等申告書等のコピーを帳簿とする。

③扶養控除等申告書等を基に必要な情報を抽出した書類を帳簿とする。

④扶養控除等申告書等にマイナンバーの記載をせず、事前に収集した個人情報ファイルと紐付けして帳簿とする。

上記①~④のいずれかの帳簿がある場合に平成30年分の扶養控除等申告書のマイナンバーの記載を省略することができるようになります。

異動があった場合は原本・帳簿ともに補正

扶養控除等申告書等の原本を帳簿としている場合

扶養控除等申告書に記載した事項について異動が生じた場合には、異動が生じた後、最初に給与の支払を受ける日の前日までに、その異動の内容、住所・氏名・マイナンバーを記載した扶養控除等申告書を給与支払者に提出する必要があります。

この扶養控除等申告書は、当初提出を受けた扶養控除等申告書を補正する形で提出しても差し支えないこととなっています。

扶養控除等申告書等の原本以外を帳簿としている場合

給与支払者が一定の帳簿を備えているため、扶養控除等申告書にマイナンバーを記載せずに提出した場合において、その扶養控除等申告書に記載した事項に異動があったときは、従業員は、遅滞なく、給与支払者に対して異動前の氏名、住所又はマイナンバー及び異動後の氏名、住所又はマイナンバーを記載した「届出書」を提出する必要があります。

その「届出書」の提出を受けた給与支払者は、備えている帳簿をその「届出書」に基づき訂正しなければなりません。

※ 給与支払者が提出を受けた「届出書」は、提出を受けた日の属する年の翌年から3年間保存する必要があります。

※ 帳簿を訂正する場合に、異動前の氏名、住所又はマイナンバーをその帳簿に記載しておく必要はありません。

※ 扶養控除等申告書等の原本を帳簿としている場合と同様に異動後の扶養控除等申告書又は補正した扶養控除等申告書の提出がある場合は、「届出書」の提出はしなくても差し支えはありません。

いずれにせよ異動があった場合には、異動後の扶養控除等申告書等の提出があれば問題ないようです。

帳簿作成後に入社・退職した者の取り扱い

帳簿作成後に入社した者について

入社時に提出を受けた扶養控除等申告書を基に帳簿を作成することとなります。

帳簿作成には扶養控除等申告書等の原本を帳簿とする方法と扶養控除等申告書等の原本以外を帳簿とする方法がありました。

いずれの場合でも入社時に扶養控除等申告書等又は個人情報ファイル等へマイナンバーの記入が必要となります。

扶養控除等申告書等の原本を帳簿とする方法の場合には、帳簿であると同時に扶養控除等申告書等の原本でもあるため、各年分の区分をし、その内帳簿分にインデックスを付けるなど、保存に工夫をした方が良いと思います。

帳簿作成後に退職した者について

原則として、扶養控除等申告書等は法定保存期間の7年間は保存が必要です。

一方、マイナンバーはできるだけ速やかに廃棄又は削除が必要です。

扶養控除等申告書等の「原本を帳簿」としている場合は、マイナンバーにマスキング等はせずに法定保存期間の7年間の保存が必要であり、その後できるだけ速やかに廃棄又は削除をすることになります。

「原本以外を帳簿」としている場合も扶養控除等申告書等は法定保存期間の7年間の保存が必要であり、帳簿についてはできるだけ速やかに廃棄又は削除をすることになります。

いずれの方法においても、作成した「帳簿」は、退職した従業員が最後に提出した扶養控除等申告書等の法定保存期限まで保存する必要があります。

マイナンバーの記載を省略するために「一定の帳簿」を備えないといけませんが、いずれにしてもマイナンバーの管理は少し注意が必要となります。