2026/10/07

給与収入があっても年金を満額もらうためには!?

年金が満額もらえる収入はどのくらい?~在職老齢年金について~

年金を満額もらうためには給与と年金の収入金額をおさえる必要があります。

60歳以降で働きながら年金をもらっている人は「在職老齢年金」の対象となり、一定の水準以上の収入があるともらえる年金が減額される制度があります。
令和4年3月以前は65歳未満の方は限度額が異なる金額で設定されていましたが、現在は60歳以上の方一律となりました。
令和7年度年金制度改正法により、これまで給与+年金の収入金額の合計が「51万円」を超えると、年金支給額が減額されていましたが、令和8年4月以降「65万円」に改正されました。
これにより、年金を満額支給してもらうために仕事をセーブしていた人もより多く働けるようになります。

ただし、ここでいう給与金額は「総報酬月額相当額」となりますので、年間の標準賞与金額を12で割った金額(1回の支給で150万円を超えた場合、150万円)もここに含まれます。
賞与を含めたら超えてしまったということがないようにご注意下さい。

65万円を超えた場合、どのように支給されるかという点ですが、以下の計算で表されます。

基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-65万円)/2

※基本月額とは加給年金額を除いた老齢厚生年金の月額のことを指します。
これは本来の年金支給額を基礎として、年金+給与の収入金額が65万円を超えた分の半分が減額されて支給されるということになります。
ちなみに、令和7年度改正前は以下の計算となっていました。
基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-51万円)/2

所得金額はどのように計算したらよいか?~所得計算について~

給与収入と年金収入の両方がある方は、それぞれの収入から所得控除を適用して合計所得金額を算定します。
また、これに加え、所得金額調整控除として、最大10万円を給与所得から控除することができます。
令和8・9年分については給与収入額が220万円以下の場合、給与所得控除額が74万円となっています。前年は190万円以下で、65万円となっていましたので、控除額が多くなりました。

例えば、75歳で給与と年金の収入がそれぞれ180万円ある場合、以下のようになります。
令和7年分
給与所得金額:180万円-65万円-10万円=105万円
年金所得金額:180万円-110万円=70万円
合計所得金額:175万円

令和8・9年分
給与所得金額:180万円-74万円-10万円=96万円
年金所得金額:180万円-110万円=70万円
合計所得金額:166万円

※令和9年分からは、給与所得控除金額と年金の所得控除の金額の合計が280万円を超える場合、年金の所得控除から超過分を差し引かれることとなるため、控除金額の上限が280万円となります。

令和10年以降の給与所得控除の最低金額は税制改正時における直近2年間の消費者物価指数の上昇率を基に調整されるとのことですので、定期的に改正される可能性が高いです。

令和8・9年分の控除金額
・給与所得控除金額
給与等の収入金額
(給与所得の源泉徴収票の支払金額) 所得控除額
2,200,000円まで          740,000円
2,200,001円から 3,600,000円まで 収入金額×30%+80,000円
3,600,001円から 6,600,000円まで 収入金額×20%+440,000円
6,600,001円から 8,500,000円まで 収入金額×10%+1,100,000円
8,500,001円以上         1,950,000円(上限)

・公的年金に係る雑所得の控除金額
(年金以外の所得が1,000万円以下で65歳以上の場合)
公的年金等の収入金額         所得控除額
330万円未満             1,100,000円
330万円以上410万円未満        収入金額×25%+275,000円
410万円以上770万円未満        収入金額×15%+685,000円
770万円以上1,000万円未満       収入金額×5%+1,455,000円
1,000万円超             1,955,000円(上限)

子どもの扶養に入るための収入はどのくらい?~社保と税金の判定基準~

年金収入のある方が、会社などで働いている子ども(第2号被保険者)の扶養親族の範囲内で働く場合、社会保険における扶養親族の範囲と所得税における扶養親族の範囲が異なっています。

所得税における扶養親族の範囲は同一生計親族でかつ、一定の所得を下回る人が扶養となることができます。令和8・9年分はこの所得水準が、合計所得金額が58万円から62万円
に引き上げられています。この合計所得金額は給与収入、年金収入から給与所得控除金額と公的年金の雑所得控除金額をそれぞれ引いた金額の合計によって判定されます。

社会保険における扶養親族の範囲は、
被保険者に生計を維持されている方のうち以下に該当する方
①被保険者の配偶者(事実婚含む)子、孫、兄弟姉妹、父母、祖父母などの直系親族
②①以外の3親等内の親族、内縁関係の配偶者の父母、子で同居している方でかつ、年間収入が180万円未満(60歳以上)で、以下の要件を満たす必要があります。
同居の場合:収入が扶養者の収入の半分未満。
別居の場合:収入が扶養者からの仕送り額未満。

所得税では「合計所得金額」として収入から一定の控除を差し引いた金額によって判定されるのに対し、社会保険では「収入金額」によって判定されることがポイントです。

なお、後期高齢者医療保険に加入されている方(75歳を超えた方、65歳から74歳で一定の障害があり、申請によって加入された方)は、子どもの扶養として健康保険に加入することはできません。

記.東京事務所2課