軽減税率8%から1%への影響について
なぜ税率1%なのか?
現在の軽減税率制度
現在の消費税率は、
標準税率:10%
軽減税率:8%(飲食料品等)
となっています。
議論されているのは、飲食料品に適用される8%を一時的に1%へ引き下げる案です。
なぜ「0%」ではなく「1%」なのか
当初は「食料品の消費税ゼロ」が検討されていましたが、レジシステムや販売管理システムの改修に時間がかかることが課題となっています。
報道によると、税率を0%にする場合は1年程度の準備期間が必要とされる一方、1%への変更であれば半年程度で対応可能との見方が示されています。
事業者への影響は?
① レジ・販売管理システムの改修
スーパー、小売店、飲食関連事業者では、
・POSレジ
・会計ソフト
・販売管理システム
・ECサイト
などの税率設定変更が必要になります。
② インボイス対応の見直し
インボイスには税率ごとの
・税抜金額
・消費税額
の記載が必要です。
税率が二種類になる場合、請求書やレシートへの税率表示も変更が必要になります。
飲食店やテイクアウト併用の事業者は注意が必要です。
③ 価格表示の変更
税込み価格を表示している事業者では、
・店頭POP
・メニュー表
・カタログ
・ホームページ
などの価格表示見直しが発生する可能性があります。
税務面への影響は?
① 売上に係る消費税額が大幅に減少
食料品を販売する事業者の場合、預かる消費税額が大きく減少します。
例えば、売上 1,000万円の場合(税抜計算の場合)
【現 行】消費税額:約74万円
【税率1%】消費税額:約10万円
となり、納税額の構造が大きく変わる可能性があります。
特に食品スーパー、食品小売業、食品卸売業などは影響が大きいと考えられます。
② 仕入に係る消費税額が大幅に減少
飲食店(店内飲食)の場合、仕入れに係る消費税が大きく減少します。
そのため、売上に係る預かり消費税は10%であるのに対し、仕入の税率が1%となることで、原則的な方法(預り消費税から支払消費税を控除する方法)により消費税額の計算をする場合、結果として納税額が大幅に増加する可能性があります。
③ 簡易課税制度の有利・不利が変わる可能性
現在の簡易課税は、「売上に係る消費税額×みなし仕入率」を基準に計算します。
しかし、売上または仕入に係る消費税額が大きく下がると、
・本則課税が有利になる
・逆に簡易課税が有利になる
など事業内容によって有利不利が変わる可能性があります。税率変更後は制度選択の再検討が必要になるでしょう。
【最後に】
2年後に、その引き下げた税率を一度に元へ戻すと、反動や駆け込み需要などの混乱を招く可能性があります。そのため、影響を緩和する観点から「段階的に戻す」という対応が検討されるかもしれません。
「減税」と言えば聞こえは良いものの、例えば税率を1%から3%、5%、8%へと段階的に引き上げる場合、その都度、事業者はシステム改修や価格表示の変更、経理処理の見直しなどの対応を迫られます。税率変更が何度も繰り返されれば、その事務負担は計り知れません。
だからこそ、仮に税率を1%まで引き下げるのであれば、実施と同時に「いつ、どのような条件で元の税率に戻すのか」といった出口戦略もあらかじめ示しておいてほしいと感じます。
記.大阪事務所4課
