2022/09/27

課税事業者・免税事業者変更後の棚卸資産に係る消費税額

消費税免税事業者が課税事業者になる場合の棚卸資産に係る消費税額の調整

免税事業者が新たに課税事業者となる場合には、課税事業者となる期間の初日の前日において所有する棚卸資産のうちに、免税事業者であった期間において仕入れた棚卸資産がある場合は、その
棚卸資産に係る消費税額を課税事業者になった課税期間の課税仕入れの税額とみなして仕入れ税額控除の対象となります。

つまり免税期間中に仕入れた商品を新たに課税事業者になってから売却すると、売上に対しては課税されるものの、仕入れに係る消費税額が控除できないままだと、継続して課税事業者である事業者との間で公平性を欠くことになるため棚卸資産についてこのような調整規定が設けられています。

また免税期間中に仕入れた棚卸資産が対象になるのですが、調整する棚卸資産の消費税額の計算は、その棚卸資産の仕入れが令和1年10月1日以降であれば取得価額に110分の7.8(軽減税率適用資産については108分の6.24)を掛けた金額を、平成26年4月1日前の仕入れであれば105分の4、平成26年4月1日以降令和1年10月1日前の仕入れであれば108分の6.3を掛けて計算します。

この適用を受けるためには、その対象となる棚卸資産の明細を記載した書類をその作成した日の属する課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日から7年間保存しなければなりません。

消費税課税事業者が免税事業者となる場合の棚卸資産に係る消費税額の調整

先ほどとは逆に課税事業者が免税事業者となる場合には、課税事業者であった課税期間の末日において所有する棚卸資産のうち、その課税期間中に仕入れた棚卸資産に係る消費税額は、その課税期間の仕入れ税額控除が出来ないこととされています。

ここで注意しなければならないことは、棚卸資産の調整対象となるのは免税事業者になる直前の課税期間中に仕入れた棚卸資産のみで、それ以前に仕入れた棚卸資産は調整対象にはならないこと。一方、免税事業者から課税事業者になる場合の棚卸資産の調整は免税事業者であった期間に仕入れた棚卸資産すべてが対象になり複数の期間に渡る場合があることです。

免税から課税になる時に簡易課税を選択する場合、課税から免税になる時の課税期間に簡易課税を選択している場合

免税事業者が新たに課税事業者となる課税期間に簡易課税制度を選択した場合、および課税事業者が免税事業者となる課税期間の前課税期間において簡易課税制度を選択している場合はいずれも棚卸資産に係る消費税額の調整規定は適用されません。

記.大阪業務3課