2022/09/12

今後の所得税について

改正の内容

国税庁は2022年8月1日 所得税基本通達の改正案について「2022年分以後の所得税において、副業の収入が300万円以下の場合は、事業所得ではなく雑所得として取り扱う」という趣旨のパブリックコメントの募集を開始しました。
(募集は2022年8月31日で終了)

現状では未定ですが、改正案の内容が通る可能性が高いと思われます。
会社員で副収入があり事業所得で申告されている方は、今回の改正により増税になる可能性も出て来ます。一般の会社員であれば、年末調整を行っていれば確定申告の義務は生じません。
ただし、副収入があれば給与所得と副業で得た収入を合算して確定申告をする必要があります。副収入といってもネットオークションでの収入等、収入の形態は様々です。所得税は10種類ある所得の中で、どの所得の種類に該当するのかによって、取り扱いや計算方法は異なります。
ただし、会社員が副業で得た収入は、一般的には雑所得になります。

事業所得と雑所得の計算方法の違い

事業所得と雑所得で計算した場合、どのように違いが出てくるのか?
事業所得として確定申告をする場合、副収入から経費を控除した金額が所得になります。経費をたくさん使い副収入を赤字にした場合、さらに給与所得から赤字部分が控除する事が出来ます。これを損益通算と言います。
また青色申告特別控除の適用や、年間の合計所得が赤字の場合は赤字を3年間繰越ことも出来ます。
雑所得として確定申告をする場合、収入から経費を控除して所得を計算します。ここまでの計算過程は事業所得と同じですが、事業所得で計算した時のように、給与所得との損益通算や赤字の繰越が出来ません。
このように考えると事業所得で申告した方が所得税額が少なくなるので、課税逃れをしているパターンも今回の改正の背景にあるのではないでしょうか。
次は事業所得と雑所得との判定基準について。

事業所得と雑所得との判定基準

今回の改正案では、「事業所得」と「雑所得」の判定基準も明示されています。

「その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうか」で判定すること。
「その所得がその者の主たる所得ではなく、かつ、その所得に係る収入金額が300万円を超えない場合には、特に反証がない限り、業務に係る雑所得として取り扱うこととする。」
「業務に係る雑所得の範囲に、営利を目的として継続的に行う資産の譲渡から生ずる所得が含まれる事」も明確化されています。

要するに改正後は、副業の収入金額が300万円以下の場合は雑所得として取り扱うという事になります。
それでは、副収入が300万円超になれば事業所得に該当するのか?という考え方も出てくるかと思います。
副収入が300万円超であったとしても判断の方法は同じで、「その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうか」で判定する事になります。

今回の改正を機に、適正な申告が増える事を願うばかりです。

記.大阪業務3課