2020/01/20

譲渡所得のあらまし

譲渡所得とは?

譲渡所得とは簡単にいえば、資産(棚卸資産を除く)の売却による所得のことです。

そして譲渡所得金額は、譲渡収入から譲渡資産の取得費 および 譲渡費用を控除して計算します。

この譲渡所得のうち、所有期間が5 年を超えるものを長期譲渡所得といい、所有期間が5 年以下のものを短期譲渡所得といいます。ただし、不動産の譲渡については、譲渡のあった年の1 月1 日における所有期間が5 年を超えるものを長期譲渡所得といい、所有期間が5 年以下のものを短期譲渡所得といいます。

総合課税の譲渡所得に該当するものは、ゴルフ会員権や30 万円を超える書画・骨董、貴金属、レジャー等使用のマイカー、競走馬などのようなものです。また個人事業で使用する動産なども総合課税の譲渡所得となります。生活に通常必要な動産などは非課税とされています。
譲渡所得のうち不動産(棚卸資産除く)、株式の譲渡にかかる所得については、他の所得と切り離して課税される申告分離課税という特別な計算方法がとられ、税率も、それぞれ個別に定められています。

譲渡所得の計算

譲渡所得は基本的に次の算式で算定します。

譲渡所得金額=(収入金額)―(取得費+譲渡経費)―(特別控除)]

特別控除について

① 総合課税の場合
特別控除額は原則50 万円です。ただし、譲渡益が50 万円未満の時はその金額が控除額となります。
短期譲渡所得と長期譲渡所得の両方がある場合には、まず短期譲渡所得から控除し、引ききれないときは長期譲渡所得から控除します。
なお、長期譲渡所得の課税対象となるのは、所得金額の2 分の1 の額です。

② 分離課税の場合
分離課税の場合の特別控除には次のようなものがあります。
ⅰ 収用交換等のために土地等を譲渡した場合・・・・・・・・5,000 万円
ⅱ 居住用財産を譲渡した場合・・・・・・・・・・・・・・・3,000 万円
ⅲ 特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合・・2,000 万円
ⅳ 特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合・・・1,500 万円
ⅴ農地保有の合理化等のために農地等を譲渡した場合・・・・800 万円

<注意点!>
・上記特別控除は同一人について1 暦年間5,000 万円を最高限度とします。
・短期譲渡についても適用できます。
・5,000 万円に達するまでの特別控除額の控除は、上記ⅰ~ⅵの特例の順になります。
・ⅳ及びⅵの土地等の譲渡が同一事業の用地として二以上の年に渡って⾏われたときは、これらの課税のうち最初の譲渡が⾏われた年以外の譲渡については、これらの特別控除の適用はありません。

損益通算について

総合課税の譲渡所得の損失は他の所得と損益通算が可能です。
しかし、生活に通常必要でない動産の譲渡損失は損益通算が認められません。また、生活に通常必要な動産は譲渡益が非課税とされるので、損失もなかったものとされます。

申告分離課税の譲渡所得については、特定居住用資産の譲渡損失など一定のもの以外は他の所得と損益通算することはできません。

通常は不動産については不動産の譲渡損益のなかで、株式については株式の譲渡損益のなかで、所得を通算できるのみです。

株式の売却益が⼤きく発生した場合は、株価回復⾒込みのない他の株式を売却して損を出せば節税になりますね。なお、上場株式の譲渡損失は、損失繰越の確定申告をすれば翌年以後3年間損失を繰越すことができます。