2019/02/12

手軽な節税対策・経営セーフティ共済

倒産防止共済とは?

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)は、取引先事業者が倒産した際に、中小企業が連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐための制度です。
無担保・無保証人で掛金の最高10倍(上限8,000万円)まで借入れでき、掛金は損金または必要経費に算入できる税制優遇も受けられます。

※「独立行政法人 中小企業基盤整備機構 経営セーフティ共済とは 制度の概要」より引用
上記のように倒産防止共済とは、取引先が倒産した際に連鎖倒産を防ぐための共済制度であり、国が全額出資している中小企業基盤整備機構が運営している制度です。
支払った掛け金が損金(法人税を計算する際の経費)となり、節税になります。

具体的にどのくらい節税になるの?

倒産防止共済に加入し、掛け金の支払をすることで実際に節税となるパターンを一つ紹介します。

※法人税の実効税率は、青色申告で資本金1,000万円。
本店が大阪市のみにある場合の税率です。

<倒産防止共済に加入していない場合の所得の推移>

初年度  1,000万円の黒字
2年目  1,000万円の黒字
3年目  1,000万円の黒字
4年目 ▲1,000万円の赤字
5年目  1,000万円の黒字

毎年1,000万円の黒字で、4年目だけ1,000万円の赤字の会社があるとします。
この場合の法人税は、法人税の実効税率は27%なので、下記のとおりです。
(実効税率は年間1,000万円の所得の場合)

初年度→1,000万円×27%=270万円
2年目→1,000万円×27%=270万円
3年目→1,000万円×27%=270万円
4年目→赤字のため均等割のみ(4年目の赤字は、5年目の黒字と相殺)
5年目→4年目の赤字と相殺するため均等割のみ

5年間トータルで合計約810万円の納税となります。

この場合に倒産防止共済に加入した事により、初年度から3年目まで年間200万円の掛け金を支払い、4年目は赤字なので、解約をして掛け金の600万円が返金された場合には、下記の所得になります。

※厳密には40ヶ月以上の掛け金の納付がある場合に掛け金の全額が返金されます。

倒産防止共済に加入した場合の所得の推移

初年度  800万円の黒字(200万円の掛金支払後)
2年目  800万円の黒字(200万円の掛金支払後)
3年目  800万円の黒字(200万円の掛金支払後)
4年目 ▲400万円の赤字(解約したため600万円が返金)
5年目  1,000万円の黒字

この場合の法人税は、法人税の実効税率は24.5%なので、下記のとおりです。
(実効税率は年間800万円の所得の場合)

初年度→800万円×24.5%=196万円
2年目→800万円×24.5%=196万円
3年目→800万円×24.5%=196万円
4年目→赤字のため均等割のみ(赤字400万円は5年目の黒字と相殺)
5年目→(1,000万円▲400万円)×24.5%=147万円

5年間トータルで合計約735万円の納税となります。

現実はこのようにうまくいくことは、あまりないでしょうが、実効税率の差の分だけ税金が少なくなります。

倒産防止共済加入の際のまとめ

倒産防止共済加入時の節税以外のメリットとしては、会計処理の方法により、会計上の経費とせずに、税金の計算上だけ経費にする方法があります。
このように処理することで決算書上はしっかり利益が計上されますが、税金の計算上は経費(損金算入)になるので、法人税は掛け金を考慮した後の税額になります。

倒産防止共済は使い方次第では、優秀な節税になります。
しかしお金が先に出ていくので、資金繰りをしっかりと考えたうえで加入を検討してください。
また、解約時に入金されたお金は収入として計上する必要があるので、大きな経費が発生するタイミングで解約することをおすすめします。

なお加入資格も存在しますし、一定の期間払い込みがないと満額返金されませんし、掛け金の減額についても制限がありますので、加入を検討される社長様は、事前に調べてから加入を検討してください。