2018/10/09

専従者給与について

奥さんに給料を払って節税

個人で事業をしている場合、生計を一にしている妻や親族といった、いわゆる家族従業員に支払う給与については原則として必要経費にはなりません。
しかし、「専従者給与」という制度を利用することによって家族従業員への給料も必要経費にすることができます。

<ポイント!>
☆ 所得分散をするため税率が下がり税金が安くなる。
☆ 給与所得控除が活用できるため税金が安くなる。
☆ 事業税も安くなる。

(1)事業専従者の基本的要件は「その事業に専ら従事していること」です。他で勤めている場合でも、勤務時間が短い等、事業に専ら従事することが妨げられない状況なら問題ありません。

例えば…
① 日中はその事業に従事し、夜間にはアルバイトをしている。
② 週4 日はその事業に従事し、1 日だけ他の仕事に従事している。
のような場合でも専ら従事していると言えるでしょう。

ただし、15 歳未満の人や、他に主たる勤め先がある人、学生は専従者になれません。
また、その年を通じて6 月を超える期間(一定の場合には事業に従事することができる期間の2 分の1 を超える期間)、その事業に専ら従事していること。
ここでいう一定の場合とは、年の途中での開廃業、病気、婚姻、就職、退職、入学、卒業などが該当します

(2)専従者給与の受給者は、控除対象配偶者や扶養親族にはなれません。

所得の分散と給与所得控除の恩恵は大きいので、是非活用を!

しかし、専従者給与は恩恵も大きい分、税務調査で必ず確認されます!以下の 3 点は必ず注意しておきましょう!

(1)職務の内容
営業・総務・人事・経理の業務全般に従事しているなど、金額に⾒合った職務内容を具体的に説明できるようにしておく方がよいでしょう。

(2)支給の状況
出来れば、他の従業員と同じ支給基準にした方がよいでしょう(銀行振込、同支給日など)。

(3)金額の届出等
① 青色事業専従者
「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出していることを要件に、専従者に支払った給与を、適正な金額の範囲内で経費にできます。なお、届出書の提出期限は、その年の3月15 日まで(その年の1 月16 日以降に開業した人や新たに専従者がいることとなった日から2 ヶ月以内)です。また届出金額を増額する場合などは変更届出書を遅滞なく提出します。最初から少し多めに届けておいたほうがいいですね。

② 白色事業専従者
実際に給与を支払っているかどうかに関わらず、事業専従者控除として、次のふたつの金額のどちらか小さいほうを控除することができます。
ⅰ . 配偶者は86 万円、それ以外の人は1 人50 万円まで
ⅱ.( この控除をする前の事業所得) ÷( 専従者の人数に1を⾜した数)

<ポイント!税務署のチェックポイント>
① 支給額は届出の範囲内か?
② 他の従業員との職務内容と給料額のバランスはどうか?
③ 同業種・同規模事業者と比較して適正か?
④ 実際に支給されているか?

<参考!>
あくまで参考としてですが、元税務署員の話では、専従者給与が税務上において過大であるかどうかの判断基準について以下の考え方で行っていたとのことです。

専従者給与を控除する前の事業所得の所得金額 + 減価償却費 - 借入金元金返済額 = A

そして専従者給与を A の 1/2 相当額を超えない程度にしていれば、「実際は全く従事していない」「青色事業専従者給与に関する届出書に記載した金額の範囲を超えている」などのことが無ければまず専従者給与を過大給与として否認しない傾向があるそうです。

要するに、上記算式の範囲であれば、キャッシュフローから考えて、実際に支給しているということについて疑義が生じないわけですね。

事業主の所得を超えると駄⽬だとかいう考え方もあるようですが、実際に専従していて、適正金額であれば問題ないですね。業績低迷でたまたま主従逆転してしまったとか、臨時的⾚字要因があったなんてことも考えられます。まして、そんな場合は、まったく気にする必要はありません。