欠損金の繰戻しによる還付
欠損金の繰戻しによる還付とは
欠損金の繰戻しによる還付とは平たく言うと、前期の法人税法上の利益相当額と今期の法人税法上の赤字相当額を相殺することで、昨年の決算において納付済みの法人税と赤字相殺後の所得から計算される法人税の差額を還付請求する制度になります。
この赤字相当額というのはいわゆる「欠損金」のことですが、欠損金が生じ実際に還付請求することができるのは次の3通りとなります。
1.青色申告書を提出する法人の欠損金の繰戻しによる還付
青色申告書である確定申告書を提出する事業年度に欠損金額が生じた場合(以下、この事業年度を「欠損事業年度」といいます。)において、その欠損金額をその欠損事業年度開始の日前1年以内に開始したいずれかの事業年度(以下「還付所得事業年度」といいます。)に繰り戻して法人税額の還付を請求することができます。
2.解散等の事実が生じた事業年度の欠損金の繰戻しによる還付
解散、事業の全部の譲渡、会社更生法等の規定による更生手続の開始など一定の事実が生じた場合で、解散等の事実が生じた日前1年以内に終了したいずれかの事業年度または解散等の事実が生じた日の属する事業年度において生じた欠損金額があるときは、上記と同様に欠損金額を繰り戻して法人税の還付を請求することができます。
3.災害損失欠損金額の繰戻しによる還付
災害のあった日から同日以後1年を経過する日までの間に終了する各事業年度または災害のあった日から同日以後6か月を経過する日までの間に終了する中間期間において生じた災害損失欠損金額がある場合には、その事業年度または中間期間開始の日前1年(青色申告である場合には、前2年)以内に開始したいずれかの事業年度の法人税額のうち災害損失欠損金額に対応する部分の金額について、還付を請求することができます。
欠損金の繰戻しによる還付の適用要件
【1の場合】
・国税庁の定める中小企業者等に該当すること。
A.普通法人のうち、その事業年度終了の時において資本金の額もしくは出資金の額が1億円以下であるものまたは資本もしくは出資を有しないもの
※投資法人や相互会社、受託法人など一部対象外となる法人があります
B.公益法人等又は協同組合等
C.法人税法以外の法律によって公益法人等とみなされる次の法人
認可地縁団体、管理組合法人、団地管理組合法人、法人である政党等、防災街区整備事業組合、特定非営利活動法人、マンション建替組合、マンション敷地売却組合および敷地分割組合
D.人格のない社団等
・還付所得事業年度から欠損事業年度の前事業年度までの各事業年度について連続して青色申告書である確定申告書を提出していること。
・欠損事業年度の青色申告書である確定申告書をその提出期限までに提出していること。
・欠損事業年度の確定申告書と同時に欠損金の繰戻しによる還付請求書を提出すること。
【2の場合】
・還付所得事業年度から欠損事業年度までの各事業年度について連続して青色申告書である確定申告書を提出していること。
・解散等の事実が生じた日以後1年以内に欠損金の繰戻しによる還付請求書を提出すること。
【3の場合】
・還付所得事業年度から欠損事業年度の前事業年度までの各事業年度について連続して確定申告書を提出していること。
・欠損事業年度の確定申告書または仮決算による中間申告書を提出していること。
・欠損事業年度の確定申告書または仮決算による中間申告書と同時に欠損金の繰戻しによる還付請求書を提出すること。
災害損失の欠損金に関しては青色申告でない場合でも使えますが、所定の要件を満たす必要があります。本稿では詳細割愛させていただきます。
欠損金の繰戻しによる還付の注意点
〇会計処理の方法によっては会計上の利益と法人税法上の利益に差額が生じる
・還付金の入金となるのは翌期の事業年度となりますので、入金時に雑収入等の営業外収益で会計処理をすると、還付金額は法人税法上は利益とならないので、この場合会計上の利益と法人税法上の利益に差額が生じることとなります。
〇還付対象となるのは法人税、地方法人税のみ
・法人住民税には繰戻還付の制度はありません。そこで法人事業税の計算上は繰戻還付がなかったものとして欠損金を翌期以降に繰越控除、法人住民税の法人税割は法人税の繰戻還付税額を「控除対象法人税額」として翌期以降10年間法人税割から控除していくこととなります。
以下、提出先と提出書類になります。
・都道府県税事務所
「欠損金額等及び災害損失金額の控除明細書(第6号様式別表9)」
「控除対象還付法人税額又は控除対象個別帰属還付税額の控除明細書(第6号様式別表2の5)」
・市町村
「控除対象還付法人税額又は控除対象個別帰属還付税額の控除明細書(第20号様式別表2の5)」
欠損金は10年間繰越することができるので必ずしも還付請求しなければならない、ということはありません。通常の申告とは別で別表の作成及び還付金額の計算の手間もあるため諸手を挙げておすすめできるわけではありませんが、しばらく赤字が続きそうな場合や解散にかかる欠損金が生じる場合などは検討した方が良いかもしれませんね。
記.大阪事務所4課
