2026/02/25

従業員に対する食事の会社負担について

食事代を100%会社が負担した場合に課税されないケース

会社が福利厚生の一環として昼食補助、残業や宿日直した際の食事代のサポートを行うことがあります。会社側が従業員に特別に何かを支払うと、受けった従業員側の給与として課税されることが原則的な取り扱いですが、税法では一定の要件のもと課税しないとされているものがあります。
食事代についても一定の要件のもとで、通達により課税されないことが公表されています。

会社が食事代を100%負担した場合に課税されないケースとして、残業や宿日直のような通常の勤務時間外の勤務を行っている者に対して支給する食事は課税されないこととされています。
勤務時間外に勤務しなければならないという実費弁償的なものとの考えで課税しないようです。判断が難しいですが、社会通念上、高額といえるものは課税されることとなっています。
通達上は会社が支給する食事となっているので食事の現物支給のイメージですが、転売不可の食事券も同様のものと取り扱われています。食事の支給と同視できるのであれば、従業員が購入した食事を領収書、レシートの提出を受け、精算する方法も実務上は多く用いられていると思います。
また、通常の勤務時間内であっても深夜勤務者に対しては、夜食の現物支給にかえて1回300円以下の金銭の支給も課税されないこととされています。こちらは、社員食堂などを設置できない場合の深夜の環境を考え金銭支給が認められているようです。
今回の税制改正で2026年4月1日以降は、金銭支給額が1回300円以下から1回650円以下に引き上げされる予定となっています。1回300円以下とされたのは昭和59年でしたので、42年ぶりの金額改定となるようです。

所得税法基本通達36-24 課税しない経済的利益……残業又は宿日直をした者に支給する食事

使用者が、残業又は宿直若しくは日直をした者(その者の通常の勤務時間外における勤務としてこれらの勤務を行った者に限る。)に対し、これらの勤務をすることにより支給する食事については、課税しなくて差し支えない。

所得税法個別通達 昭和59年7月26日付直法6-5、直所3-8

深夜勤務者(労働協約又は就業規則等により定められた正規の勤務時間による勤務の一部又は全部を午後10時から翌日午前5時までの間において行う者をいう。)に対し、使用者が調理施設を有しないことなどにより深夜勤務に伴う夜食を現物で支給することが著しく困難であるため、その夜食の現物支給に代え通常の給与(労働基準法第37条第1項《時間外、休日及び深夜の割増賃金》の規定による割増賃金その他これに類するものを含む。)に加算して勤務一回ごとの定額で支給する金銭で、その一回の支給額が300円以下のものについては、課税しなくて差し支えないものとする。

勤務時間内の食事支給について

前項でご紹介した通り深夜勤務者に対しては勤務時間内でも100%会社負担が認められるケースがありましたが、深夜以外の通常勤務時間内についても会社負担100%ではありませんが、課税されない要件が通達により公表されています。
通達では、会社側が支給した食事の購入額の50%以上を役員又は従業員が負担し、月額3,500円以内であれば課税しないとされています。

今回の税制改正で2026年4月1日以降は、月額3,500円以内が月額7,500円以内に引き上げされる予定となっています。
この金額も決定したのが昭和59年でしたので、42年ぶりの金額改定となるようです。
月額の金額は改正されましたが、もう一つの要件の従業員等の負担が50%以上は継続されるようです。
要件を外れると、食事代全額が給与として課税されますので、注意が必要になります。

通達上での食事の支給は前項と同様に現物支給のイメージで、社員食堂や弁当などを会社で購入し従業員が一定金額を支払うような現物支給が想定されていると思いますが、前項と同様に食事の支給と同視できるのであれば、従業員が購入した食事を領収書、レシートの提出を受け、精算する方法も実務上は多く用いられていると思います。

弁当代等を給与から差引されているのを見て、会社が全額負担してほしいと思ってしまった方もいらっしゃるかもしれませんが、会社が全額負担すると給与と同じ取り扱いになり弁当代も含めて課税されてしまいます。

所得税法基本通達36-38 食事の評価

使用者が役員又は使用人に対し支給する食事については、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に掲げる金額により評価する。
(1) 使用者が調理して支給する食事 その食事の材料等に要する直接費の額に相当する金額
(2) 使用者が購入して支給する食事 その食事の購入価額に相当する金額

所得税法基本通達36-38の2 食事の支給による経済的利益はないものとする場合

使用者が役員又は使用人に対し支給した食事(36-24の食事を除く。)につき当該役員又は使用人から実際に徴収している対価の額が、36-38により評価した当該食事の価額の50%相当額以上である場合には、当該役員又は使用人が食事の支給により受ける経済的利益はないものとする。ただし、当該食事の価額からその実際に徴収している対価の額を控除した残額が月額3,500円を超えるときは、この限りでない。

早朝勤務や在宅勤務の取り扱い

早朝出勤をした場合や、在宅勤務の取り扱いはどうなるでしょうか。

夜間の長時間労働抑制などの理由から早朝勤務を奨励した会社が朝食を支給する場合は時間外労働と同様の取り扱いとなり、朝食支給は課税されないこととなります。ただし、通常の勤務時間を早朝からに変更したときは、通常の勤務時間内の取り扱いとなるため支給した朝食の50%以上は従業員等が負担し改正後は月額7,500円以内であれば課税されないこととなります。
在宅勤務についても勤務時間内の食事支給について、国税庁がFAQを公表しています。
通常の勤務と同様に従業員が50%以上負担し、改正後は月額7,500円以内であれば課税されないこととなります。
FAQでは食事券で例示されています。

従業員サポートのため食事支給をされた場合も会社側の負担の仕方によって、食事支給を受けた従業員側に課税されてしまうことになります。月額金額が増加するこの機会に福利厚生の見直しを考えてもよいのではと思われます。

記.東京事務所2課