2025/12/23

通勤費の非課税限度額の引き上げ

所得税法施行例改正の概要

2025年11月20日施行の所得税法施行令改正により、自動車・バイク・自転車等で通勤する従業員に支給する通勤手当の非課税限度額が引き上げられます。
※ 電車・バス・船など公共交通機関利用の非課税限度額(1か月15万円)は変更ありません。

新しい非課税限度額(主要区分)

片道距離に応じて、以下のように上限額が引き上げられます。

片道距離 改正前 改正後(2025年11月〜)
10km以上〜15km未満 7,100円 7,300円
15km以上〜25km未満 12,900円 13,500円
25km以上〜35km未満 18,700円 19,700円
35km以上〜45km未満 24,400円 25,900円
45km以上〜55km未満 28,000円 32,300円
55km以上 31,600円 38,700円

特に片道が長距離の従業員がいる企業ほど影響が大きくなります。

最大の注意点「遡及適用」

今回の改正の実務上の最大のポイントは、

2025年4月1日以後に支払われる通勤手当にも遡って改正後の限度額を適用するという点です。

施行日は11月ですが、4月以降の支給分を改正後の限度額で再計算し、年末調整で精算する必要があります。

● よくある誤り
・「11月から新しい限度額を適用すればよい」と思い込む
・4〜11月の給与明細が「課税扱い」のままで年末調整を迎えてしまう
・ソフト設定を11月からしか変えない
→ すべて誤りです。

改正における実務担当者が行うべき対応

今回の改正に伴い、担当者は以下の対応が必要となります。

・遡及分の差額の計算
令和7年4月1日以降に支払われた通勤手当について、改正前の非課税限度額を超えて支給し、「課税対象額」として課税処理されていた金額のうち今回の改正で非課税となる部分を洗い出します。
洗い出した金額は後述で使用します。

・年末調整での精算処理
非課税限度額の改正に伴う調整は令和7年分の年末調整にて行われます。具体的な手順は以下の通りです。
1 通常通り1月~12月の支給総額を集計
2 年間の課税給与総額から前述のとおり算出した遡及して非課税となる金額を差し引く。
3 年税額を計算する。
4 源泉徴収税額の合計と年税額の差額を還付、徴収する

これにより改正に伴って変更となった課税所得が正しく修正され、結果として所得税の精算が行われることとなります。

よくある質問(Q&A)

Q1改正前の4月~11月の給与を修正する必要はありますか?
A1修正は不要。年末調整でまとめて調整します。

Q2支給額が新しい限度額を超えている場合はどうなりますか?
A2超過分は課税されます。(改正前後で取扱いに変更なし)

Q3年末調整の際には新たに非課税となった金額とその計算根拠を源泉徴収簿の余白に記載すると聞きましたが、当社の使用している給与計算ソフトではそのような記載ができません。どうすればよいですか
A3正しく年調年税額が算出されているのであれば記載を省略して差し支えありません。

Q4年の途中で退職した従業員に対しすでに源泉徴収票を交付していますがなにか対応しなければならないことはありますか?
A4年の途中で退職した人に支払っていた通勤手当が改正前の非課税限度額以下である場合には特段の対応は不要ですが改正前の非課税限度額を超えた手当を支払っていた場合で改正後の非課税限度額を適用することで新たに非課税となった部分があるときは「支払金額」欄を訂正し「適用」欄に「再交付」と表示した源泉徴収票を作成し、再度交付してください。

記.名古屋事務所2課