定期同額給与
定期同額給与について
役員給与の損金不算入については法人税法第34条に規定されており、その中の「政令で定める金額」については法人税法施行令第69条に規定されています。
定期同額給与とは、次に掲げる役員給与をいいます。
①その支給時期が1か月以下の一定の期間ごとである給与(以下「定期給与」といいます)で、その事業年度の各支給時期における支給額または支給額から源泉税等(源泉徴収をされる所得税の額、特別徴収をされる地方税の額、定期給与の額から控除される社会保険料の額その他これらに類するものの額の合計額をいいます)の額を控除した金額が同額であるもの
②定期給与の額につき、その事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から3か月(確定申告書の提出期限の特例に係る税務署長の指定を受けた場合にはその指定に係る月数に2を加えた月数)を経過する日(以下「3月経過日等」といいます。)まで(継続して毎年所定の時期にされる定期給与の額の改定で、その改訂が3月経過日等後にされることについて特別の事情があると認められる場合にはその改訂の時期まで)にされる定期給与の額の改定(以下「給与改定」といいます)がされた場合におけるその事業年度開始の日または給与改定前の最後の支給時期の翌日から給与改定後の最初の支給時期の前日またはその事業年度終了の日までの間の各支給時期における支給額または支給額から源泉等の額を控除した金額が同額であるもの。
※臨時改定事由と業績悪化事由の記載は割愛しています。
簡単にいいますと、役員給与は毎月同額で、変更するなら期首から3カ月以内に行ったものについては損金算入を認めるということですね。
それでは、以下の事例の場合は定期同額給与として扱っても良いでしょうか?
(事例)
・3月決算法人
・役員給与については業務執行を兼任する者もいるため、従業員と同様に当月分を翌月10日に支給するものとしている。
・毎年6月下旬に定時株主総会開催し、7月分給与(8月10日支給)から定期給与の額を変更(期首から5か月目の支給)。
A.『毎年同様に6月下旬の株主総会において役員給与が改定されているのであれば、定期同額給与の要件を満たすものと解されます。』
この例の場合、一見すると期首から5か月目に支給されていることから認められないように思われますね。
しかし、法令では3月経過日等までに継続して「給与改定」を行うことを要件としていますが、改定後の定期給与を3か月以内に支給しなければならないとは規定されていません。
役員の職務執行期間は、一般的に定時株主総会の開催日から翌年の定時株主総会の開催日までの期間であり、定時株主総会における定期給与の額の改定は、その定時株主総会の開催日から開始する新たな職務執行期間に係る給与の額を
定めるものと解されます。
そのため、上記例の場合、毎年6月末までに開催される定時株主総会では翌職務執行期間に係る給与の額を定めるものでしょうから、6月末の株主総会開催日から開始する翌職務執行期間に係る最初の給与の支給時期を、7月の職務執行期間経過後の8月10日とする定め方もあり得ることだと思われます。
(出典・・週刊税務通信No.3594)
ただ、中小零細企業であれば決算日から2カ月以内で確定申告を行っているところが殆どだと思われます。通常、定時株主総会は確定申告前に行われますので、申告期限の延長の特例を申請している法人などでなければ、上記の事例のように期首から5カ月目が変更後最初の支給で良いというケースは当てはまらないものと思われます。
何にせよ、ギリギリで変更するのではなく、改定から支給まで余裕を持って行うのが一番良いでしょう。
あと、余談ですが役員給与が毎月定額であれば全く否認されないとは限りません。法人税法には「過大役員給与」という規定もあり、「不相当に高額」と判断されれば、その部分については損金に算入できないことになっています。
ただ、「不相当に高額」の要件が非常に曖昧であることから、その金額がいくらなのかは納税者側では全く判断できないのが実態で、裁判となっているケースも見受けられます。
記.名古屋事務所1課
