2021/06/15

所得拡大促進税制

所得拡大促進税制とは

中小企業全体として雇用を見守りつつ、所得拡大を促すため、賃上げだけでなく、雇用を増加させる企業を下支えする観点から、雇用者全体の給与等支給額に着目した要件に見直すこととなりました。

適用要件の見直し

中小企業における所得拡大促進税制について、次の見直しを行った上、その適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする)。

(1) 適用要件のうち、継続雇用者給与等支給額の継続雇用者比較給与等支給額に対する増加割合が 1.5%以上であることとの要件を、雇用者給与等支給額の比較雇用者給与等支給額に対する増加割合が1.5%以上であることとの要件に見直す。
(2) 税額控除率が25%となる要件のうち、継続雇用者給与等支給額の継続雇用者比較給与等支給額に対する増加割合が2.5%以上であることとの要件を、雇用者給与等支給額の比較給与等支給額に対する増加割合が2.5%以上であることとの要件に見直す。

(注)給与等の支給額から控除する「給与等に充てるため他の者から支払いを受ける金額」について、その範囲を明確化するとともに、次の見直しを行う。

1.上記(1)及び(2)の要件を判定する場合には、雇用調整助成金及びこれに類するものの額を控除しないこととする。
2.税額控除率を乗ずる基礎となる雇用者給与等支給額から比較雇用者給与等支給額を控除した金額は、雇用調整助成金及びこれに類するものの額を控除して計算した金額を上限とする。

適用に当たって

1.適用要件等の改正は、上記のとおり。改正前の適用要件は、継続雇用者給与等支給額をベースに判定していたが、改正後は、雇用者給与等支給額をベースに判定する。継続雇用者(当期・前期の各月全てに給与等の支給を受けた一定の国内雇用者)の抽出が不要になったことによる事務負担の軽減のほか、適用要件のハードルが下がったことになる。

2.適用要件の増加割合が2.5%以上であり、かつ教育訓練費増加等の要件を満たす場合には、控除率を10%上乗せ(変わらず)

3.適用要件の判定時には、給与等の支給額から雇用調整助成金等を控除しない

4.税額控除限度額の計算時には、給与等の支給額から雇用調整助成金等を控除する

5.控除税額は、当期の法人税額の20%を上限とする(変わらず)

6.人材確保等促進税制との併用はできない。

まとめ

青色申告書を提出する中小企業向けの所得拡大促進税制の見直は、事務負担の軽減、適用要件のハードルが下がったことで、今後は適用する企業も増えるのではないでしょうか?

記.名古屋事務所1課