2018/01/23

法人課税-平成30年度税制改正大綱

今回は、中小企業者を対象とした法人税の減税に関する改正を中心に述べていきます。
この度の改正によって企業の利益が賃上げや投資にまわるようにし、個人消費の回復につながるような改正内容になっています。

従業員の給与が上がると法人税が安くなる?

中小企業における所得拡大促進税制の改組
青色申告書を提出する中小企業者等が、平成30年4月1日から平成33年3月31日までの間に開始する各事業年度において国内雇用者に対して給与等を支給する場合において、平均給与等支給額から比較平均給与等支給額を控除した金額の比較平均給与等支給額に対する割合が1.5%以上であるときは、給与等支給増加額の15%の税額控除ができることとする。

この場合において、次の要件を満たすときは、給与等支給増加額の25%の税額控除ができることとする。ただし、控除税額は、当期の法人税額の20%を上限とする。(所得税についても同様とする。)。

1.平均給与等支給額から比較平均給与等支給額を控除した金額の比較平均給与等支給額に対する割合が2.5%以上であること。

2.次のいずれかの要件を満たすこと。

イ 教育訓練費の額の前期の教育訓練費の額に対する増加割合が10%以上であること。

ロ その中小企業者等がその事業年度終了の日までに中小企業等経営強化法の経営力向上

計画の認定を受けたもので、その経営力向上計画に従って経営力向上が確実に行われたものとして証明がされたこと。

要約すると

(1)青色申告書を提出する中小企業者等であること。

(2)平成30年4月1日から平成33年3月31日までの間にはじまる事業年度が対象である。

(3)当期の平均給与と前期の平均給与を比較して、1.5%以上増加していること。
  
  例えば 当期の平均給与32万円-前期の平均給与30万円=2万円

      2万円÷30万円=約6.7%≧1.5%

(4)(3)の差額の割合が2.5%以上あり、従業員の教育費や研修費などを当期と前期で比較して増加した割合が10%以上あれば、上乗せして25%の税額控除ができる。

(5)ただし、控除税額はその年の法人税の20%が上限となる。

注意点は

会社を設立した年度は税額控除を受けられない。

当期と前期の2年間をとおして在籍する従業員がおり、給与が上がっている必要がある。

中小企業者にとっては使い勝手が良くなった改正だと思われます。

設備をしたら法人税が安くなるの?

設備を取得した場合の税制も新設されていますが、一般的な中小企業に関係がありそうなものは多くありません。

(1)情報連携投資等の促進に係る税制の創設

青色申告書を提出する法人が一定の条件のもと、合計5,000万円以上のソフトウェア等を取得し、その事業の用に供したときは、その取得価額の30%の特別償却か5%の税額控除を受けられる制度です。

(2)その他の租税特別措置

1.青色申告書を提出する法人で特定事業者等であるものが、高度省エネルギー増進設備等を取得し、国内にある事業の用に供したときは、その取得価額の30%の特別償却か7%の税額控除を受けられる制度です。

2.青色申告書を提出する法人が、再生可能エネルギー発電設備等を取得し、国内にある事業の用に供したときは、その取得価額の20%の特別償却を受けられる制度です。

3.青色申告書を提出する法人で一定の認定を受けたものが、情報流通円滑化設備の取得等をして、東京圏以外の地域内において事業の用に供したときは、その取得価額の15%の特別償却を受けられる制度です。

4.青色申告書を提出する法人が、企業主導型保育施設用資産の取得をして、その保育事業の用に供したときは、3年間12%(建物等と構築物は15%)の割増償却を受けられる制度です。

いずれの制度も平成30年4月1日から平成32年3月31日までの時限措置となります。

減税制度の延長

(1) 交際費となる飲食費の50%(中小企業の場合は交際費800万円まで)が損金算入できる制度の適用期限が平成32年3月31日まで2年延長されます。

(2) 中小企業者等が取得価額30万円未満の減価償却資産を取得した場合に、年間300万円までは取得価額の全額を損金算入できる特例適用期限が平成32年3月31日まで2年延長されます。

上記の改正は今後の国会法案審議の過程で、修正・削除・追加が行われることもありますので留意してください。