2026/02/04

従業員が亡くなってしまった場合の給与計算など

死亡日後に支給日が到来する給与の所得税法上の取扱いについて

・所得税法上の取扱い
前回の給与の締め日から亡くなるまでの期間分の給与が発生するため、死亡後に相続人へ支給することとなります。通常のご本人名義口座への振り込みではないため、身元を確認した上で手渡しするか、相続人名義口座へ振り込みます。

死亡後に支給日が来る給与は「給与所得」ではなく相続財産として「相続税」の対象となります。
そのため、所得税の源泉徴収は行いません。給与所得の源泉徴収票の支給額にも含めません。

給与所得なのか相続財産となるのかの判定基準は、給与の締め日ではなく、支払日が死亡前か後かで判定します。死亡日前に支給予定であった給与が、何らかの理由で支給が遅れ、死亡日後の支給となってしまった場合は給与所得として取り扱います。

通常の退職とは異なり、死亡退職の場合は年の途中でも年末調整を行う必要があります。
年末調整還付金が発生した場合は相続人へ支払います。
源泉徴収票の「死亡退職」の欄に〇を記載します。
この源泉徴収票を基に準確定申告を行うため、相続人の方へ交付します。

所得税以外の天引きについて

所得税以外の通常給与から預かる社会保険料等を、死亡日後に支給日が到来する給与からも同じように預かるべきなのでしょうか。それぞれの取り扱いを確認していきます。

・社会保険(健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料)
死亡した日の翌日が資格喪失日です。資格喪失月の前の月までで保険料が発生しなくなるので、通常は死亡日後に支給する給与からご本人負担分は預かりません。月末に無くなってしまった場合は、資格喪失日が翌月となってしまう
ためご注意ください。前月分を預かって納付している場合は最後のひと月分預かりが必要ですのでご注意ください。手続きとしては年金事務所へ資格喪失届の提出が必要です。

・雇用保険料
死亡した日の翌日が資格喪失日です。所得税とは違い、死亡した日までに発生した給与・賞与に対してこれまでと同様に保険料が発生し、預かりが必要です。ハローワークへ資格喪失届の提出が必要です。

・住民税
特別徴収は行いません。未徴収の住民税は一括徴収せず、給与所得者異動届出書を居住地の市区町村へ提出して普通徴収へ切り替えます。

所得税、健康保険・介護保険・厚生年金、雇用保険でそれぞれ対象となる期間が異なるので注意が必要です。

その他に考えられる手続きについて

従業員が亡くなった場合、死亡退職金を支給することがあります。支給するかしないか、支給額等は就業規則に沿って手続きします。死亡退職金も、従業員が死亡後に支給されるものですので、相続財産として扱い、所得税の源泉徴収は行いません。

遺族へ会社から支給する死亡弔慰金や花輪代、葬祭料等関連する贈り物は福利厚生費として計上できます。こちらも就業規則に沿って支給します。死亡退職金と死亡弔慰金が曖昧にならないよう、就業規則の退職金規定は事前に整備しておきましょう。

従業員が業務中や通勤途中に死亡した場合は労災保険の対象です。業務中に死亡した場合は労働基準監督署へ「労働者死傷病報告」を提出します。通勤途中の死亡の場合は労災保険の対象ではありますが、「労働者死傷病報告」の提出は不要です。遺族が保険の給付等を受ける際に会社側の証明書が度々必要となりますので、申請があれば協力してあげましょう。

今回は従業員が死亡した場合の会社側の手続きについてご紹介させていただきました。あまり考えたくはないことですが、一緒に働いてくれた方にいざという時にどのような対応をしてあげられるのか、どのような手続きがあるのか、事前に確認しておきましょう。

記.東京事務所2課