2019/09/21

軽減税率の具体例(Q&A)

飲食料品を販売した場合

消費税は2019年10月1日より税率が8%から10%へ増税されます。
一定の「飲食料品の譲渡」及び「新聞の譲渡」については軽減税率(8%)が適用されます。

「飲食料品」は人の飲用又は食用に供されるものをいいますが、定義が幅広いものになっているので判断に迷いが生じそうなものがあります。
どういったものが軽減税率の対象になるのか例示をあげてご紹介します。

(1)生きた魚の販売
食用に該当する鮮魚は対象ですが熱帯魚などの観賞用の魚は対象となりません。
販売する事業者が食用とすれば食用に該当します。
購入側の利用状況は考慮されません。

(2)コーヒーの生豆の販売
直接的に食べませんが、飲用のため対象となります。
焙煎等の加工を行う行為は「役務の提供」に該当するため対象となりません。

(3)苗木、種子の販売
栽培用として販売される植物及び種子は対象となりません。
かぼちゃの種など食用として販売されるものは対象となります。

(4)水の販売
ミネラルウォーターなどの飲料水は対象となりますが、水道水は飲用としても利用しますが、飲用以外の生活用水として利用可能なため対象とされません。

(5)ウォーターサーバーのレンタル及び水の販売
ウォーターサーバー自体のレンタル料は対象外ですが、使用する水は対象となります。

(6)お酒の販売
酒税法に規定する酒(アルコール分1度以上のもの)は対象外となります。
ノンアルコールビール(アルコール分1度未満のもの)は対象となります。

(7)栄養ドリンクの販売
医薬品、医薬部外品、再生医療等製品に該当するものは対象とされていません。
栄養ドリンクも上記の医薬品等に該当するときは対象となりません。
健康食品なども同様に医薬品等に該当するときは対象となりません。

(8)割りばし、ストローなどを付帯した弁当の販売
割りばし、ストローなど通常その弁当を飲食する際にのみ使用される場合は、食器具も含めて対象となります。
保冷剤などを別売りしているときは保冷剤部分のみ対象となりません。

(9)果物狩り、潮干狩り、釣り堀
果樹園での果物狩りの入園料は「役務の提供」に該当するため対象となりません。
収穫した果物について別途対価をとっているときは対象となります。
潮干狩り、釣り堀も同様の取り扱いです。

(10)カタログギフトの販売
カタログギフト用の商品(飲食料品)を百貨店へ卸売する行為は「役務の提供」とされ対象となりません。

外食の場合は???

飲食料品の販売でも、「食事の提供」に該当する場合は軽減税率の対象外になります。「食事の提供」は飲食設備のある場所で飲食料品を飲食させるという役務の提供をいいます。飲食店以外の場所も軽減税率対象外になるのでしょうか。こちらもケース別にご紹介します。

(1)セルフサービスの飲食店
飲食設備がある場所であればセルフサービスであっても対象外になります。
飲食設備は、テーブル、椅子、カウンター等をいいます。

(2)屋台等
飲食設備がある場所であれば対象外になります。
飲食設備の設置者と飲食料品の提供者が別の場合も、お互いにメニューを設置している場合など事業者同志が合意して使用できる設備の時は飲食設備に該当します。

(3)コンビニのイートインスペース
イートインスペースがある場合は、顧客へ店内飲食か持ち帰りかの意思確認が必要になります。
店内飲食の場合は対象外となり、持ち帰りの場合は対象となります。
※大半が持ち帰りの場合は「イートインコーナーを利用する場合はお申し出ください」といった掲示による簡便な意思確認方法も可能とされています。

(4)公園のベンチ
契約等による特殊な場合を除き、誰もが利用できるベンチは飲食設備に該当しないため、公園で販売している飲食料品は対象とされます。

(5)旅客列車の移動ワゴン販売
事前予約による食事の提供を除き対象となります。
いわゆる食堂車は対象となりません。

(6)映画館の売店
通常の売店販売は対象となります。
売店にベンチ等があるときはその場での飲食か持ち帰りかの意思確認が必要となります。
その場での飲食は対象外となり持ち帰りは対象となります。

(7)カラオケボックス
客室が飲食設備と考えられるため対象となりません。

外食については、飲食設備の有無が軽減税率が適用されるかのポイントとなります。
飲食設備があっても持ち帰りが可能なときは意思確認するといった今までにはなかった判定方法が使用されるようです。

新聞の譲渡も注意が必要

飲食料品に注目が集まりがちですが、「新聞の譲渡」にも軽減税率が適用されます。
軽減税率の対象になっていますが、「新聞の譲渡」全てではありません。

新聞の範囲ですが、定期購読契約が締結された週2回以上発行される一定のものです。
いわゆるスポーツ新聞や業界紙、日本語以外の新聞等についても対象とされています。

電子版の新聞は税務上、「電気通信利用役務の提供」に該当するため、新聞の譲渡には該当せず、軽減税率の対象とはなりません。

ここでポイントになるのが「定期購読契約」です。
「定期購読契約」は、新聞販売店と契約を結んで定期的に配達してもらう契約です。
コンビニエンスストア等の小売店で販売したものは定期購読契約にあたらないため、毎日新聞を購入しても軽減税率の対象外とされます

定期購読している紙の新聞と電子版のセット契約をしているときは、紙の新聞部分は軽減税率の対象になり電子版は対象となりません。それぞれの金額ごとに区分して税率が適用されます。
経理上は少し手間がかかるかもしれません。

今回は国税庁より公表されている消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)を参照いたしました。ご紹介できていない事例がたくさんありますので、興味がある方はご参照ください。