2017/11/13

電気通信利用役務の提供の消費税法上の取扱

今回は、インターネット等を利用したソフトウェアの配信等、いわゆる「電気通信利用役務の提供」の消費税法上の取扱について国内取引の判定を中心に取り上げます。

消費税の内外判定

日本の消費税ですが、輸入取引とされるもの以外は、「国内において事業者が行った資産の譲渡等」を課税の対象としています。

文章だけ見ると、当たり前のような内容ですが、実際の取引に直面すると判断に迷いが生じることがよくあります。

特に「国内において」は、インターネットが発達した後は、外国との取引が頻繁に行われるようになり、判断があいまいなことが多くなっています。

国内取引の判定は、原則として、資産の所在地やサービスの提供地が、国内であれば、国内取引として課税の対象とされています。

実態がはっきりとしている資産であれば、場所を特定することがしやすいと思われますが、インターネット上でダウンロードしたプログラムなどは、どこがサービスの提供地になるのでしょうか?

このような取引については「電気通信利用役務の提供」と規定されるものに該当するかどうかにより取扱が変わってきます。

「電気通信利用役務の提供」はインターネット等を介して行われる電子書籍、電子新聞、音楽、映像、ソフトウェア(ゲーム等のアプリを含む)の配信等と具体的に例示されています。
※国税庁が公表している国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税に関するQ&A問2-1によっています。

 

「電気通信利用役務の提供」 販売側の取扱

「電気通信利用役務の提供」に該当する場合、以前は、サービスの提供地が不明確なものはサービスを行う側の住所地等で判定することとなっていたため、サービスの提供者が国内の事業者であれば国内取引、国外の事業者であれば国外取引となっていました。

日本で同じソフトウェアをダウンロードしても、購入先が国内事業者か国外事業者かで消費税が課されたり、課されないといったことがおきていました。

税制改正され平成27年10月1日以降は、『サービスを受ける者の住所等」を基準に判定することにされたため、どの国の事業者から購入しても日本の消費税が課税されることとなりました。

実際の取引を考えてみましょう。
まず、販売者側です。
国内の事業者が、インターネットを通じたダウンロードソフトを国内消費者向けに販売すると国内取引として消費税が課税されます。
国外の消費者向けに販売すると国外取引になり消費税対象外になります。

消費者の国内、国外の判断ですが、消費者側が申し出た住所地やクレジットカードの発行国情報を照合して確認する等各取引の性質等に応じて合理的かつ客観的に判定できる方法により判断することとなっています。

事業者間で契約した、事業者向けサービスに該当すると、原則的には消費者と同じ取扱いです。
以前は国内取引の判定が本店所在地であったため全てが消費税対象外でしたが、外国法人でも日本に恒久的施設がある法人に向けてのサービスは一部改正がありました。
恒久的施設で受けた、その恒久的施設のみで利用されるサービスについては、国内取引とされることになりました。
※平成29年1月1日以後の取引に適用されます。

 

「電気通信利用役務の提供」 支払側の取扱

支払い側の取扱です。

物販を行っている国内の事業者がサイト運営者へ手数料を支払う場合は、事業者向けサービスなのか、消費者向けサービスなのかによって、取扱がかわってきます。

 

消費者向けサービスの場合

国内のサイト運営者への支払・・・通常の課税仕入
国外のサイト運営者への支払・・・登録国外事業者の場合は通常の課税仕入
登録国外事業者でなければ、消費税対象外

事業者向けサービスの場合

国内のサイト運営者への支払・・・通常の課税仕入
国外のサイト運営者への支払・・・特定課税仕入となり
いわゆるリバースチャージ方式が適用されます。
※経過措置により、納税者の課税売上割合が95%以上であれば、消費税対象外取引となります。

事業者向けサービスは、単に事業者同士の取引というものでなく、ウェブサイト上に掲載した規約等で事業者のみを対象と明示されていても、消費者からの申し込みを事実上制限できないものについては、事業者向けとして取り扱わないこととなっています。
※消費税法基本通達5-8-4

ウェブサイト上で、日本語表記だからといっても国内事業者でない可能性があります。
事業者の住所地なども確認されてみてはいかがでしょうか。